話を始める前に、皆様にひとつクイズを出したいと思います。
Q.白猫と黒猫の両親からどんな色の子猫が生まれると思いますか?
① 白猫だけしか生まれない。
② 黒猫だけしか生まれない。
③ 色が混ざって灰色になる。
④ 乳牛のような白と黒のぶち猫になる。
⑤ わからない。
ひとつ、お選びになったでしょうか。
正解は「⑤わからない」が正解です。
白黒のぶち猫は街中でよく見かけます。ぶち猫は黒と白のまじりあった色なので、白猫と黒猫の子供のような気がしますが、そうではないのです。猫の毛色というのは、非常に複雑怪奇なしくみで決まってきます。というわけで、今日は白猫についてのお話です。

「ぶち猫」
●猫の毛色を決めるのは遺伝子
ところで、下に書いてあるアルファベットはなんだと思いますか?
ww、oo、AA、bb、CC、 DD、ii、ss、TT、LL
これ、実は猫の毛色遺伝子を表したものです。最も基本的な毛色である「サバトラ」の毛色です。遺伝子というのは、毛の色、尾の長さ、折れ耳など、体を作る設計図となるもので、お父さんとお母さんからひとつずつ受け継ぎます。このため、ひとつの特徴に二つずつ遺伝子を持っています。これをもっと分かりやすくした形で示します。
二人がけ席が並んだ電車のような形をしています。子供が生まれるとき、この座席にお父さんとお母さんからの遺伝子が特定の特徴それぞれにひとつずつ座っていくような形で子供に受け継がれていくのです。猫の毛色の遺伝をお話しする上で、この遺伝子の話は切り離せないので、よく覚えておいてください。
●最強の毛色遺伝子【W】
白猫になる遺伝子は、大文字の【W】であらわします。英語のWhite(白)の頭文字に由来します。白猫以外になる遺伝子は小文字の【w】で表します。
実はこの白猫になる【W】を持っていると、100%白猫になります。黒猫になる遺伝子を持っていようが、茶トラになる遺伝子を持っていようが、必ず100%白猫になります。猫の毛色遺伝子の中では、最も強い遺伝子なのです!しかし、遺伝子が強すぎるためか、たまに白猫の中には目が見えなかったり、耳が聞こえなかったりする猫もいるようです。白猫の遺伝子【W】は猫の皮膚の細胞をつくる能力自体に異常を起こすため、このようなことが起こります。
でも、白猫の遺伝子を持っていたら、子供はみな白猫になるのでは?と思う方もいると思います。実際そうだったら、いずれ猫はすべて白猫になってしまいます。そうならないために、うまくできたシステムがあるのです。
●白猫になる仕組み
お父さんとお母さんの両方から白猫になる遺伝子【W】をもらったとすると、子猫は【WW】という遺伝子を持ち、白猫になります。また、お父さんからは白猫になる遺伝子【W】をもらい、お母さんからは白猫にならない遺伝子【w】をもらったとしたら、子猫は【Ww】となりますが、白猫になります。なぜなら、白猫になる遺伝子【W】は最強の遺伝子ですから!
●白猫と黒猫の子供は?
お父さんが【Ww】という白猫で、お母さんが【ww】という遺伝子を持った黒猫だとすると、生まれてくる子猫は【Ww】という遺伝子の白猫、または【ww】という遺伝子をもった猫になります。【ww】という猫は黒猫になるとは限らないのです。なぜだと思いますか?それは、お父さんが【Ww】という遺伝子のほかに、どんな遺伝子を持っているか分からないからなのです。オレンジ色の遺伝子を持っているかもしれないし、銀色になる遺伝子を持っているかもしれない。白猫になる遺伝子【W】がほかの毛色遺伝子の影響をすべて打ち消してしまっているため、お父さんが白猫になる遺伝子以外にどのような遺伝子を持っているか分からないのです。だから、白猫から生まれた【ww】という白色以外の毛色を持った猫はいろんな毛色の可能性があるのです。
以上のような理由で、最初に行ったクイズの答えは「⑤わからない」が正解なのです。白猫と黒猫の間に生まれる子供は白猫が生まれる可能性が高いですが、どんな猫が生まれるかは分からないということです。最初のクイズ、なぞは解けたでしょうか?
皆さんも白猫を見たら、どんな子猫が生まれてくるのか想像してみてはいかがでしょうか。


